たぶん百合のために

好きな百合作品の感想を綴っていきます

【キャラ考察】青田泉について【できそこないの姫君たち】(ネタバレ注意)

現在第3巻まで刊行されている

アジイチ先生の「できそこないの姫君たち」。

 

ますます絶好調な今作ですが、その躍進を大いに担っているのが

彼女、青田泉です。

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第3巻の表紙は藤白と泉の2人。

携帯で誰かとやりとりをし、嬉しそうな表情を浮かべる藤白。

それを見て複雑そうな顔を浮かべる泉。

これだけでもういろいろなことが想像できちゃいますよね!

 

ちょっと脱線しちゃうんですけど、本当にこの漫画の表紙好きなんですよ。

キャラの表情や立ち位置の変化で、どんなことがあったか。

この巻にはどういった内容が収録されているか理解できる。

美麗なイラストも相まって、より読者の想像を引き立てます。

私は電子ででしか所持していませんが、紙も買うべきかなあ…

 

(ネタバレを大量に含んでいるので未読の方は注意!もったいない!)

 

分け隔てなくみんなに平等に接する優しい子。しかし秘密が…

 

そんなことはさておいて。

2巻後半からストーリーの中心に躍り出てきた泉ですが、

実は第1話から登場していました。

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藤白の彼氏が二股しているのを伝えたのは彼女だったんですね。

それ以降も泉は藤白の友人役として背景にたびたび登場しています。

 

物語に本格的に参戦するようになったのは2巻の後半から。

黒川によって憧れの存在だった藤白が変わってしまったことが面白くない「美樹」(藤白の取り巻き)は、

黒川に嫌味を言って気を晴らそうとします。

それを諫めたのが泉。

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また泉は美樹と一緒に過ごすことをやめ、グループからハブられていた藤白と行動を共にすることを決めます。

なんて優しい子…

親友である藤白のために、自分のポジション等を犠牲にしてでも藤白と一緒にいる。

なんという美しい友情ではありませんか。

 

と、思うところですが彼女も何か思惑があるようです。

 

ある時、黒川の幼馴染・いろはが転校してきました。

再会を喜ぶ黒川といろは。

それを見た藤白は面白くありません。

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今までこんな気持ちを抱いたことがないのに、何故かいろはといる黒川を見るとイライラする。

そんな胸の内を泉に告げた藤白。

それに対し、泉の答えは。

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美樹の例も挙げ、藤白を納得させることに成功。

しかしどこか違和感の残る回答です。

ここまで読んできている読者はみな、

「藤白が黒川へ知らず知らずのうちに恋心を抱いているから、だからこそいろはに嫉妬しているのではないか」

こう感じたはずです。

泉の答え方はまるでそれを知っているのに、あえて別の答えへ誘導したかのように見えます。

自分の想いに気づき始める藤白。それに対し泉は…

 

 

修学旅行が近づき、黒川と藤白、泉、いろはは4人で旅行のための買い物に出かけます。

すると偶然黒川といろはの好きな声優のイベントが行われており、2対2で別行動することに。

 

アニメや漫画で一緒に話せる、共通言語がうらやましい。

藤白は泉にそう告げると、またしても黒川に対する想いを切り出します。

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固まる泉。

それは心の底からショックな出来事を聞いたような顔。

 

感情のまま独白を続ける藤白。

それを遮るかのように。

自分も藤白のことを抱きしめてみせる泉。

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「これくらい普通だよ」

そういう泉の顔はどこか怖く、悲しげでありました。

 

ここまでで誰もが察したでしょう。

泉は藤白に対し特別な感情を抱いているのです。

 

泉自身は自分の想いを打ち明ける気はありません。

告げたら今の友達という関係が崩れてしまうから。

この気持ちを知られたらもう一緒にはいられないから。

 

でも藤白のことを黒川に取られたくない。

藤白の中に眠る恋心を気づかせたくない。

 

そのために自分に嘘をついて、心を押し殺して。

恋心を友情と錯覚させようとしているのです。

 

辛い、辛すぎる……。

 

 

抑えきれない想い

 

 

大浴場で黒川の裸を見てドキドキしたり、

顔が近づいて大声で叫んでしまったり。

修学旅行中も藤白の黒川に対する想いはどんどん募っていきます。

そしてそれを一番近くで見ている泉は。

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お腹が痛くなってきました……。

 

そして2日目の夜。

ついに藤白は“親友”の泉に対し、ついに自分の心情を打ち明けます。

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それはあまりに残酷な告白。

自分が最も愛している人間が、自分以外の人間が好きだという。

それを告げられた理由は、自分が親友だからという。

恋愛対象と思われていないからこその、信頼の証ともいえる告白。

 

そしてついに、隠してきた泉の感情が爆発します。

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ここまで丁寧に書かれていた伏線。

泉の藤白を見つめる表情。

あえて相談に対し、半ば見当はずれな回答をしていた理由。

正しいことを正しい、悪いことを悪いと言える誠実な性格。

それなのに何かあるたびに「秘密」と本心を誰にも打ち明けてこなかった。

 

そんな彼女の感情が、ついにあふれ出てしまいました。

 

 

自分で書いていて言葉になりません…

これをリアルタイムで追っていた時はいつも楽しみで、

しかし仕事の昼休憩のたびに涙を流していました。

 

もちろん黒川と藤白の恋模様だけでも十分に面白いのですが、

泉という素晴らしいキャラが出てきたことでこの漫画の尊さはいっそう増し、

現在の百合界を代表する作品となったといえるでしょう。

 

今後、泉が藤白と結ばれることは(メタ的にも)ないとは思いますが、

願わくば幸せな未来を用意してあげて欲しい…